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うれしかったのです。

昨日、大学の後輩が経営しているボンズという店によって昼食をとった。へんぴな場所にもかかわらず、席は一杯で奥の座敷に通された。私は大きなテーブルに一人座り、昼定食が運ばれてくるのを待っていた。

そこへ、年の頃27~8歳の青年が入ってきた。座るところなく、「相席でもよろしいですか?」と店先で主人の尋ねる声が聞こえる。私と同じテーブルに案内され、向いに座った。手にはスポーツ新聞を持っている。

しばらくして「お水ありますか?」とその青年が尋ねると店の主人は「ありますよ。セルフサービスですけど・・・」と答えた。

それを聞いた青年は、その場所に行って水差しとグラスを持って帰り再び座った。するとそこには2つのグラスがあり、「お水どうですか?」と私に声をかけた。私はとっさに「すいません。ありがとうございます。」と答えた。2つのグラスに水を注ぐと彼は、再びスポーツ新聞に目を落とした。

いまどき、「こんな気の利いた、思いやりのある人もいるんだなぁ。」と感じ、「世の中まだまだ捨てたもんじゃない。」と嬉しくなった。そんな事を考えながら食事を済ませると「お先に」と声をかけて席を立った。

勘定をするため後輩である主人のところへいってこの話をし、2人分の支払いをして店を後にした。見ず知らずの私に優しくしてくれた「このような青年の心が報われる世の中になればいいなぁ」と密かに思ったのであります。

店を出て空を見上げると雲ひとつない晴天でありました。

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