優しさと思いやりと感謝。
昼食にその店へ行くと調理が出来て陳列され、その中から一品づつおかずを選ぶ食堂がある。好きなものを選ぶ事が出来るので時々利用する。いわゆる一杯飯屋だ。
店の中には確か2人の男性と3人の女性が働いており、厨房にはもう1人女性がいる。日によって多少人数は違うかもしれない。 何回かいくうちに顔を覚えられてしまっているらしい事が入り口を入ったところにいる店のどの人でも雰囲気でわかる。(利用する人の顔は自然に覚える)
食事が済んでレジへ支払いに行くとその女性は伝票をバーコードの読み取り機に当てて私の目を見て代金を告げる。その目は微笑んでいる。私は1000円札を渡す。彼女は釣り銭を出して自分の右手で私の手に乗せ、「ありがとうとございました」とニッコリ言い、その後そっと左手を添える。その時私の手と彼女の手は少しだけ触れる。このときも目と目は合っている。そして出入り口に向かう私の背中に「またお願いします」という言葉をかけると私は小さくコックリとうなづき「ありがとう」と言って店をあとにする。いつ行っても彼女はそうするのだ。
優しそうな澄んだ瞳で笑みを浮かべてこのような応対をされると私はたまらない。 こんな世知辛い時代の世の中でもまだこういう人がいる。彼女の胸につけられた名札には日本名の苗字が書かれているが実際はそうではない。私たちが忘れかけている大事なものを彼女は持っている。それが営業的なことではなくこの人の自然なものだと私には感じられる。
ありがとう。