1:29:300の数式で危機管理の大切さを唱える法則がある。
労働災害の分析データに基づいて米国の安全管理技師が唱えた「ハインリッヒの法則」である。
1つの大事故の前には29の小事故が相次ぎ、その陰には直接、事故やミスにつながらなかったものの300のヒヤリハット事例が存在しているというのだ。
「33」と「32」ここに現実の数値がある。
これは前者が’02横浜母子3人の死傷事故が発生するまでの三菱自動車製による大型車タイヤ脱落事故件数であり、後者は今年3月、六本木ヒルズで大阪府吹田市の6歳男児が回転扉に挟まれて死亡するまでに発生した事故件数である。
こうした事件や事故は法則でいう29を大きく上回り、それを警告しているにも拘わらず放置した結果が招いた悲惨な現実だ。
特に雪印事件以降、BSE問題、日本ハム、浅田農産など近年様々な事件が国内で発覚しているが「ばれたら仕方がない」、「ばれなきゃ何をしてもいい」という企業の体質や社会構造は、この法則でいくとまだまだ隠されているのかもしれない。
こうしてみると危機管理と信用は表裏一体のものである事が良く解るが、コスト削減を追及し、目先の利益を追求するあまり後で取り返しのつかない損害を被っている。
ましてやこれらは全てが人命に関っているということを肝に銘じておかなければならない。