第一生命経済研究所が発表したところによると北京五輪の日本国内での経済効果(4月~9月)は直近20年間に開催された夏季五輪の平均額に届かないことが分かりました。
一般的に五輪など世界的イベントには家電製品を中心に売り上げが伸びる「特需」が発生するようですが今回はその期待を裏切ったようです。
北京五輪での経済効果は6,158億円でGDPの押し上げ効果は0.11%(年率換算)となる模様でロサンゼルス五輪以降の平均額7,000億円を大幅に下回るようです。
メダルラッシュに沸いたアテネ五輪では8,075億円と過去最高を記録し、GDPを0.16%押し上げて普及率の低かった薄型テレビやDVDレコーダーの売り上げが経済効果に表れました。
今回は原油高など景気低迷に加え食品の値上げなど景気の後退局面に入っていることで個人消費が伸びていないなという背景もありそうです。
《最近の五輪特需》
1984年 ロサンゼルス 5,541億円
1988年 ソウル 6,640億円
1992年 バルセロナ 6,764億円
1996年 アトランタ 7,819億円
2000年 シドニー 7,559億円
2004年 アテネ 8,075億円
2008年 北京 6,158億円
竹中平蔵氏によると『オリンピックという「宴」の背後で中国社会は大きく揺らいでいる。テロの発生という政治的混乱に加え経済にも変化が生じている。開会式当日、上海の株式市場は前日比▲4%と大きく落ち込み、大会で中国選手が華々しく活躍し国民が熱狂する傍ら開幕後4日間でさらに6%下落した。ちなみに同期間、日米の株価はほぼ横ばいだった。中国の長期的な発展力は間違いなく大きい。それを発揮してもらうことはわれわれの利益でもある。しかし、中国社会が抱える経済的自由と政治的不自由という大きな矛盾が次第に蓄積されつつある。その社会的不満を打ち消すために成長を続けなければならない宿命の中で経済的にはバブルが生まれてきた。中国はこの大きな矛盾を今後どのように解決していくのか。』と”大きな誤りの始まり”というコラムの中で指摘しています。