29日午後、麻生太郎新首相は衆参両院で所信表明演説を行いました。
自らが総裁選挙で勝利したときに発した「次期衆院総選挙に勝利して初めて天命を全うしたことになる」と述べたように演説内容は民主党との戦いを前面に出したものとなりました。けんか太郎の戦術は民主党に対していかにも挑戦的、挑発的な内容でした。
また、後期高齢者医療制度について国民を混乱させたことへの陳謝、見直について触れ、当面の経済対策、中期的な財政再建、改革による経済成長で取り組む基本方針を示しました。
異例だったのは演説で民主党に質問を投げかけたことです。「緊急総合経済対策実施のためには補正予算を早期に成立させなければならないが、良いのか駄目なのか代表質問で示して欲しい。独自の案があるならそれでも良いが財源を示せ」と逆質問して迫りました。続けて「民主党の抵抗で1か月分穴の開いた地方道路財源を補填する関連法案を速やかに成立させねばならないが、賛否を伺う」と捲くし立て双方の考えや案を国民の前で競いたいと述べました。
昨年夏から続くネジレ国会の中で政権運営が国民不在の政局中心で物事を進めてきた民主党に対する強烈なストレートパンチで久々にスカッとしました。
この人の良さはハッキリものを言うことだと思います。時代は強いリーダーを求めています。混迷する時代だからこそ、何が正しいのか分からなくなっている時代だからこそこうしたリーダーが求められるのだと思います。
解散総選挙が目前に迫っているような気がしますが、よくよく考えてみると解散する理由は今のところ何もないのが現実ではないでしょうか。
来年の東京都議会選挙を控え公明党に早期解散を迫られているからとか、昨年以来優勢にある民主党から政権奪取のためその声が上がるからとか、閣僚の不祥事、不適切発言などで有利に選挙戦略を進めようとする野党の思惑などがマスコミを通じて報道されることで「選挙なのか」という世の中の空気でしょうが、現時点で自民党にとって解散しなければならない本当の理由はなに一つないのです。
それでも解散・総選挙の流れは止まりそうにありませんが、補正予算の成立を阻むとか誠実な国会審議が出来ないなど野党の姿勢や戦術を批判して解散理由になるのが専らの見方のようです。もちろん審議に入っても空転したらその時点で終わりです。でも本当の事はその時になってみないと分かりませんがね・・・
また昨日は米国下院議会の金融安定化法案が大方の見通しを裏切って否決されました。これを受けてイギリス、ドイツを始め証券市場は大暴落しており、日本市場でも今日前場から前面大幅値下げ状態となっています。米国・サブプライムローン問題に端を発した金融問題は欧州、米国などで銀行、証券会社の経営破たんが相次いでおり、世界金融恐慌に発展する危険性を孕んでいるのではないでしょうか。10年前に日本がそうしたように一時的な国有化や合併で切り抜けることが出来ればよいのですが・・・21世紀初のオイルショックに加えこうした金融不安はもうすぐ世界同時不況となるかもしれません。