今日は締めくくりの総括質疑があり、各会派の代表者が予算委員会最後となる質問に立ちました。
私も最後の質問に選んだのはやはり「球場跡地問題」、「五輪招致検討委員会」、「若草町再開発事業」の3項目でした。
中でも「若草町再開発事業」は広島駅北口を323億円でホテル・ビジネス棟と住宅棟(賃貸、分譲)を一体として再開発する事業です。
ところが一昨年秋、リーマンショックが世界を襲いホテル・ビジネス棟を一体管理運営するはずだった外資系ファンドが撤退したため残りの事業資金186億円のうち146億円しか調達できないため広島市にその残額40億円の無利子融資を求めているものです。
186億円の内訳: 民間都市開発推進機構 30億円
大和システム㈱ 30億円
三井住友銀行 86億円
広島市 40億円
保留床管理法人: 保留床取得費 122億円
ホテル内装費等 64億円
撤退した外資系ファンドの代わりに民間保留床管理会社を設立し管理・運営しようと言うのですが、事業主体とは言え民間会社に税金を無利子融資するということは極めて異常なことと言えます。
ビジネス棟は地上13階、地下1階の建物です。
地下1階は広島市の駐輪場(せっかくの持ち分を駐輪場にするなんてどうかと思いますけど)、1、2階はエントランスホール、防災センター、機械室等(経常経費のみ発生)、3階~6階は駐車場(高い建設コストと駐車料金が採算割れ)、7階~13階がテナントオフィス(述べ床面積は約7,000㎡)となっています。そのテナント料を当局はは15,000円/月坪で試算しています。
私の調査したところによるとこの地区の相場は1階で15,000円/月坪(最上級物件)、2階から上は平均で8,000円/月坪くらいというのが実勢価格のようです。
そうするとこのビジネス棟は一番高く賃料収入が見込める1、2階をエントランスホール、その他にしているため1円の収入も生み出すことはありません。中間を駐車場にしているのもかなり勿体無いと思います。いずれにしても当局の見込んでいる賃料収入は約2,121坪に15,000円を乗じて得た約3,180万円ですが、実勢価格8,000円で計算すると約1,700万円となり、その差は実に1,480万円です。さらに年間ではその差額が1億7,760万円もの赤字となることが見込まれます。賃料金額が高ければ入居するテナントは限りなく0に近づき、相場で貸しても赤字、入居がなければ大赤字という金額設定です。これでは行き詰ることが最初から分かっています。
また、ホテルは一泊17,000円の客単価で75%の稼働率を見込んでいるようですが、広島市内のホテルでこんなに高い単価、稼働率のホテルが何処にあるでしょうか。皆、40%~50%くらいで苦労しています。酷いところは30%以下です。グランヴィアが79%くらいの稼働率だと言っていましたが、シェラトンが出来れば客は分散しますし、そのうち単価の高いシェラトンは敬遠されると思います。これでは大規模な宴会が毎日のように予定されないと損益分岐点に達しません。
このように余りに甘い試算で計画された事業計画ならびに建設費償還計画は元本10年据え置きと言ってもすぐに経営が悪化する結果が目に見えています。仮に広島市がこの融資以外に資金援助して10年存続できたとしても莫大な税金投入が予想されます。その上、残りの15年で返済が可能だと考えるのは宇宙人の考えることです。遅かれ早かれ倒産します。すると倒産させられないからまた次の資金援助が必要になります。一旦、この枠組みに入ったらもう抜け出すことは出来ません。
今、当局が考えなければならないことは安易な無利子貸し付けをして目先を誤魔化すことでは無く、ホテル・シェラトンとの内装・設備等の仕様変更を交渉すること、ビジネス棟の建設単価を下げる設計変更です。さらに加えて言えば一体開発した住居棟のリスク回避です。議会はこの選択を市がするよう賢明な判断をしなければなりません。
やるべきことは上記等の方法により40億円を圧縮し、調達可能額の範囲で市が予定通り再開発事業を完成させることが何より大事なことです。広島市が融資をしなければ事業がストップして幽霊ビルになると言う人もいますが、決してそんなことはありません。
金融機関も安全に融資を回収したいのが本音です。そのために一番安全な広島市(これ以上ない担保)を枠組みに入れておきたいのであって(資金ショートした時の金づる)、本当は議案の常識的な結果を待って再度、事業計画、返済計画について協議をする用意をしているのです。