ソチ冬季五輪の中盤で感動的なメダリストが生まれました。
41歳7度目の五輪出場で初めて葛西紀明が個人種目のラージヒルで銀メダルを獲得しました。
子供のころから貧しい家庭で育ち、それでもジャンプを続けさせてくれた理解者であるお母さんを長野五輪の前に失くし、失意のどん底で自身は怪我のため団体メンバーには入れず、血小板減少症候群を患い闘病生活を続ける妹にも励まされ、姉も支え続けたというエピソードがあります。
「悲運のエース」の称号は、歳を重ね続けても進化する葛西選手を世界の選手から、いつしか「レジェンド」と呼ばれるまでになっていました。五輪でどうしてもメダルがほしいという願いは決して自分だけのためではありませんでした。
同世代で自分だけがメダルを持っていないという悔しさがここまで競技を続けさせ、長年支えてくれた家族への恩返し、とりわけ病床の妹を元気づけるためにも戦っていることを知りました。
銀メダル確定直後のインタビューで「次の目標は?」と聞かれ、「金メダルです」ときっぱり答えていました。
2本目を飛び終わって、公式記録が出る前に日本の3選手が葛西選手のもとへ駆け寄り、抱きついていたシーンには胸が熱くなりました。
個人戦が終わり、今後は団体戦に映りますが、単純に個人戦4人のスコアを足すと日本はダントツのトップという状況です。
今のチームワーク、ムードを大事にして団体戦でも金メダルを取ってほしいと願っています。
フィギュアでも日本人初の金メダルをもたらした羽生結弦選手(19)も素晴らしかったですね。前半はミスが目立ちどうかなと思っていたら、後半は持ち直して難度の高いジャンプを決め溌剌としていました。
前日にはSPで101.45という国際大会史上初めて100点を超える得点を叩き出していましが、金への欲望とプレッシャーの戦いを見事に克服しました。メンタルの強さを感じます。
東日本大震災の被災地から育った羽生選手は、「一人だけ心躍らせるわけにはいかない」と言います。「たくさんの方に支えられここにいる。皆さんの思いを背負って表彰台に立てた」とも語り、苦しい境遇の中で今も戦っている被災地の人を思いやり、感謝の言葉を述べていました。
五輪中盤に来てメダリストが次々に生まれ、遅ればせながら日本が盛り上がってきました。
女子のフィギュアなど期待できる種目もあり、後半競技でも日本を沸かせてほしいですね。